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西へ2

  • 2019/06/20

2日目。

朝、スニーカーは乾いていなかった。やっぱりね…そうだろうとは思ってたけど。かくしてぺたんこエスパドリーユで今日一日過ごすことが決定したものの、自分の未来に自信がない。朝から夜がもう怖い。私は自分でも驚くほど歩くのが下手なのだ。自分の足につまづいて転ぶくらい、下手なのだ。よくそんなで役者業をやってるなあという意見もあろう。その通りである。とまれ、こんなチャラい靴(GUさんすみません)で疲れ果てて今日の夜ぶっ倒れるかもしれないと不安に陥り「奈良駅にABCマートがあったらスニーカーを買おうかな」と思いつめる。

幼なじみSちゃんと旦那さんと三人で電車に乗り、一路奈良へ。JRの奈良駅。駅舎がとても綺麗だがABCマートはなかった。少しほっとする。雑念が消える。

二人に導かれて、奈良の街を歩く。街の雰囲気も変わったらしい。道路の拡張工事に伴い古い建物が壊され、新しいお店がたくさんできている。古いままの店もちらほらあるが、とても趣がある。

商店街を抜けて、近鉄奈良駅の目の前にある「たなか」というお店で奈良名物の柿の葉寿司を求める。旦那さんに「柿の葉寿司はやっぱり鯖が一番だよ」と教えてもらうが、鯖オンリーの棒寿司と鯖鯛鮭の三種寿司とを目の前にするとやはり鯛も捨てがたい。私は実際鯛が好物なのだ。「でもなあ、ここは鯖のみでもいいんじゃないかなあ、やっぱり鯖食べとかないと名物食べたってことにならないんじゃないかなあ、でもなあ鯛も食べたいなあ」とウザいくらいになかなか決断できない私の気持ちをくんでくれる優しい夫婦は、一本が「鯛2、鮭2、鯖3」と7分割になっている柿の葉寿司にしようと言ってくれた。ありがとう。それを一つ購入し、三人で分けることに。

きっと二人だけの旅行だったら「鯖7」の寿司を購入していたのかな。きっとそうだ。二人は鯖が大好きなのだ、知らないけど、きっとそうに決まっている。申し訳ないことしちゃったかもしれないなあと考えながら二人の後をついていく。

ややあって、視界には大きな五重塔と、シカが。

そうだった、シカだった!ここにはこんな風にシカがいるのだ、と言っても過去この場所に来たことについての記憶はゼロに近いので、普通に驚き、その可愛さに喜ぶ。テーオ(我が家の猫)と同じ色だ。

 

 

シカ、可愛い。テーオを思い出す。

 

その後、東大寺の大仏にたどり着くまでとにかくひたすらシカと関わる。シカ、当たり前だけど性格あるね。「食べ物くれ!」とガンガン迫って頭突きしてくる子もいれば、控えめにこちらを見ているだけのヤツも。後者に思いを寄せる。ちなみにテーオも後者である。

途中、奈良公園の芝生のベンチに座り柿の葉寿司を食べる。迷ったが結局鯖を食べた。鯛も鮭も食べずに、鯖。鯖が食べたくなってしまったのだ。鯛と鮭は二人が食べてくれた。美味しかったとのことで胸を撫で下ろすも、本当にひどい話である。

東大寺南大門の金剛力士像。圧倒される。あ、と一瞬で記憶が戻ってきた。確かにこれは修学旅行の時に見た。高校生の時分、何も面白くなかった、つまらなかった、自分をもてあましていたであろう、その時期。衝撃を思い出す。門の中にひっそりと静かに佇み怒っているその姿に「人間というちっぽけな存在がなぜこんなとてつもないものを作ることができたのだろう」と思ったような、なんだかそんなようなことを考えた気がする。

これは震えるような感覚。世界の不思議だ。人間の力の謎。生きることのでかさ。過去が自分を飲み込む。歴史の恐ろしさ。43歳になってもやっぱり驚く。見てよかった。大仏も素晴らしかった。でかい。ただただでかい。でかくて気持ちいい。

近鉄電車に乗り、三人で一路京都へ。

 

 

つづく

 

 

せんと君に対して「可愛くない」と批判的意見が見られた時もあったが、私は比較的好きなキャラクターだ。ツノが可愛い。

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