明け方の猫
- 2023/10/04
10月になった。
睡眠時間がとれない。
目が覚めてしまう。
昼間当然のように眠いのだが、一体どうやって活動しているのかわからない。
この睡眠不足の蓄積は、もはや負債である。
どうにか睡眠借金を返したいが、昼間は働いているので返済できていない。
明け方窓を開けるとナフルが待ってましたとばかりにベランダに出る。
毎日の習慣だ。
常に外に出たいナフル。
そのうしろについていき、ご相伴に預かるかのように一緒にベランダに出ていたテーオ。
テーオ単独でベランダに出ることはほとんどなかった。
珍しくひとりでベランダに出ている時に私が不用意に近づくと脱兎の如く部屋に戻ってしまう。
なんならそのままベッドの下に潜り込んでしまい、しばらく出てこなくなる。
とにかく逃げ足の速い猫だった。
いつも何かに警戒しているようで、
それが気の毒だなと思う時もあったが、
ベッドの下ではのびのびやっていたようだった。
私が居間で洗濯物を畳んでいると、
なぜかベッドの下から這い出てきて、
毎回私の膝に乗った。
これは本当に意味がわからなかったのだが、
膝に乗るのは洗濯物を畳んでいる時のみなのである。
ただ座っている膝には決して乗らなかった。
手伝いのつもりだったのだろうか。
膝上の滞在時間は平均5分ほど。
飽きが来たのか、突然去っていく。
なんなら私の膝を蹴り上げて、
またベッドの下に潜ってしまう。
何を考えているのかよくわからない。
そこが最高に魅力的であった。
今も、テーオが見える。
振り返ると、
半透明のテーオがいる。
ナフルの横に、テーオが寄り添っている。
以前よりも、私の前にいる。
見える気がするのだ。
私の脳がその存在を当たり前と理解することを、失って初めて知った。