空洞です
- 2009/10/13
■日々毎度のことですが、しばらく頭の中がぱんぱんでした。破裂などするわけもなく、忘れたりどうでもよくなったり他のことでまた別の破裂を感じたりしてこの状態はいつか消えることなどわかっているのだ、そう、私はもう33歳なのです。
■また新しい日々に出会うために、そして輝く一瞬を掴みたいために、ここは静かに待つべきだとわかっているのだからやり過ごせば大丈夫なんだよ、と、マトリョーシカの中の小さな自分に語りかけては反応を待つ。うーん、疲れているだけか?簡単なことか?と何度ももう一人の小さな自分に問いかけています。
■そんな時にベストタイミングでぼんやりする時間をいただき、偶然なんだけどね、携帯電話も破裂しそうな頭ももう一人の自分もどこかに置いて、今このタイミングで「空洞です」って言える時間を過ごせたことは本当に助かったのでした。気がつけばほんの少し頭に隙間ができていたようで、ありがたやありがたやであります。
■そんなわけで多和田葉子の「旅をする裸の眼」、浅草キッド「お笑い男の星座」、笙野頼子「二百回忌」の初版本などなどなどを近所の素敵な古本屋で購入。古本屋の若い店主はキャスケットをかぶっていたりして何だか古本屋的雰囲気満点。昔の靴屋にも見えるけど。本の品揃えもこだわりを感じるし、きっと本が大好きな人なんだろうなと想像できる。友達になれるかなあ、いつか話しかけてみようかなあ。多和田さんの小説、楽しみである。そうやって日々こつこつ進んで行くのであります。
■「パンドラの匣」、見た?
「パンドラの匣」
- 2009/10/12
■「パンドラの匣」東京公開されました。テアトル新宿です。皆様お誘い合わせの上、是非映画館に来て下さい。
■昨年の初冬、宮城県で撮影されました。スクリーンから感じられるきらめきは、この土地の持つ空気の清冽さもあるのかと思います。それに川上未映子さん、仲里依紗さんの美しさも相俟ってキラキラした光を放つ映画になっているのです。撮影中は二人とも花のように存在していて、それがそのままスクリーンに映っている。試写会ではその可憐さに身体の力が抜けるほどでした。
■私は「孔雀」という名の看護婦役で出演しています。美しい名前。名前は美しい。太宰治の「パンドラの匣」を読んだ人には「孔雀」がどんな人間がわかっていただけると思います。私にとって太宰は非常に愛着のある人物でして、晩年に「私は太宰治の「パンドラの匣」の孔雀を演じたんだなあ、よかったなあ、幸せな人生だったなあ」と思うだろうと予測しています。
■私の個人的思い入れは置いといて、冨永昌敬監督の傑作です。映画館へ!
明日、「パンドラの匣」公開記念イベント!
- 2009/10/06
映画『パンドラの匣』公開記念
一夜限りの! 「やっとるか やっとるぞ」健康道場ナイト
出演:冨永昌敬(監督/映画『パンドラの匣』、PV「地獄先生」、「おやすみパラドックス」)
やくしまるえつこ(ミュージシャン/相対性理論、TUTU HELVETICA、ほか)
イベント内容:
(1)冨永昌敬によるPV監督作品上映&解析
ーー「地獄先生」「おやすみパラドックス」「京マチ子の夜」「KEEP IT A SECRET」など予定!
(2)やくしまるえつこによるミニライブ
ーー劇中曲「オルレアンの少女」ほか
(3)小説「パンドラの匣」朗読会 ……and more!!!!!
日時:10/7(水)19:30 open/20:00 start
入場料:¥1,000(税込)+1drink
会場:VACANT(渋谷区神宮前3-20-13)
主催:東京テアトル
special thanks:KING RECORDS、THEATRE PRODUCTS
■写真、私もいますぞ。
■明日のイベント是非是非皆様足をお運び下さい。そして10日にはいよいよ東京劇場公開。面白い映画なのでゼッタイに見てください。
地獄の南北線
- 2009/09/13
■過労でまたダウン。腹痛で南北線が地獄に思えた。その腹のまま大先輩小田豊さん出演の菅間馬鈴薯堂「猫の墓」を王子小劇場で見た。小田さんの怒鳴り声が腹に響くぜ!ロックだぜ!なんて、小田さんは癇癪持ちの夏目漱石役。とても素敵でした。
■昨日は遊園地再生事業団の戯曲研究会(仮名)に参加。カトリン・レグラの「私たちは眠らない」を皆でリーディングする。ト書きが少な過ぎて「一体これどうやって舞台にするの?」って感じだったがそれもまたよし、と思った。自由に考えられるから。面白い戯曲だ。戯曲、片っ端から一日一本ペースで声に出して読みたいなあと思った。
■今週は家にいる時間がほとんどなかった。自分の企画も進めないと、時間がないなあ。さて来週は恒例水戸短編映像祭コンペティションの司会です。今年でなんと5年目。こんなに続くとは全く思っていませんでした。水戸のスタッフの皆さんとノミネートされた監督皆で作り上げる長くも感動的な一日、今年も頑張ります。司会パートナーは前年に引き続き柳沢茂樹くんです。あだなは「ぎっさん」です。ぎっさんとはもう長い友人なので、非常にリラックスして司会が出来ます。
■水戸のスタッフブログに去年の私たちの写真が掲載されていました。
■まあ、こんな感じです。説明しますと、向かって右端は当たり前ですが私、順に田中智章監督(第9回コンペグランプリ監督/「放課後ノート」)、田中羊一監督(第11回コンペグランプリ監督/「そっけないCJ」)、後ろを向いているのが柳沢くん。当時応募作の中でもダブル田中監督の作品はずば抜けていたなあと、今感慨深くその応募作品を思い出す。二人とも今や映画監督としていろいろなお仕事をされております。
■さあ私はこの一週間で最終ノミネート作品を全部見るという大きな仕事があるのです。やればできる。きっとできる。そしてこの写真を見て「今年は前髪をおろそう」と強く思うのでした。スタッフブログによると20日は「パンドラの匣」プレミア上映に、主演の染谷将太くんも来るとのこと!
吾妻橋ダンスクロッシング
- 2009/09/12
■吾妻橋ダンスクロッシングに行って来た。
■実はいとうせいこうさんと飴屋法水さんと鉄割アルバトロスケットが見たくて行った。他のパフォーマンスもきっと面白いだろうなあと思い、そう思いながら見逃すのは非常に勿体ないし、自分自身が何かを探していたのだと思う。結構忙しい日々でやること満載なんだけど思い切って時間を使おうと思ったのだ。
■一人で行った。仕事が終わってから東京を横断して駆け込んだので空きっ腹だったのだが、会場に入った瞬間の熱気にちょっと嬉しくなってしまいビールを飲みながら鑑賞。終演後自分の勘は意外と冴えまくってるなと思った。いとうさん、飴屋さん、鉄割のパフォーマンスが素晴らしく、あとcontact Gonzoという全く未知だった男性4人からなるパフォーマンス軍団のあまりのことに開いた口が塞がらなかった。私の席は舞台が四角くせり出している上手(客席から見て向かって右)のエリアのさらに一番奥で、つまり舞台上に一番近く正面エリアで見ているお客さんの顔をばっちり見ることができるのだが、contact Gonzoを見ている間は私以外のほとんどの人の口が開いていた。すごかった。あんな身体見たことない。「身体なんかどうでもいい」っていう新しい潔さなのかもしれないと思った。
■鉄割アルバトロスケットは前にやはり吾妻橋で見てすごく面白かったのだが、その後お仕事で何度かご一緒させていただいて、伊藤麻実子さんというあまりに樹木希林にそっくりな為「きりんちゃん」という渾名のかわいくて面白い女優さんと連絡をとらせてもらっている。前回は伊藤さんが出演していなかったため今回はかなり楽しみにしていたのだ。そして昨日ビールを飲みつつ確信した。私は伊藤さんと主宰の戌井昭人さんの大ファンである。普段舞台を見て声を上げて笑うことなんてなかなかないのに、堪えきれず笑ってしまうその身体の不思議な状態さえ楽しめた。今回鉄割のサイトを見たんだけど、劇団員のプロフィール写真のすごさには笑うしかない。本当に大好き。
■それからいとうさんのパフォーマンスは、これから見に行く人もいると思うのでネタバレはさけたいのだが、それが終わりちょっと笑いながら客席に頭を下げたいとうさんの顔は汗が輝き、その顔は本当にかっこよかった。ここの場所にいる皆がゼッタイに知っている知名度の高いいとうさんのような方が、こんなに挑戦的でなおかつ素直なパフォーマンスを見せてくれたことにきっと皆感動していたと思う。ひねくれていない何も恐れない姿を見せてもらった。飴屋法水さんのパフォーマンスは実は一番楽しみにしていて、最近いろんな人の話を聞き、ここ何年かで演劇活動を再開された飴屋さんを是非見ておきたいと思ったのだ。そしてそれはあまりによかった。泣きそうになりながら見ていた。嫌味の一切ない、またもや挑戦的な舞台。こんなものに出会えるから演劇(というか舞台表現)はやっぱりやめられない。絶望があって希望がある。見ている間別の自分が遊体離脱のように身体から離れて、この状況を楽しんでいる自分をも楽しんでいる。さらにもう一人の自分が現れ、自分が舞台に立つ時の姿を、自分の表現とはいったい果たしてあるのだろうかと考えている。そんな舞台。
■終わった後に、やはり見に来ていた宮沢(章夫)さんに会い、すごい離れた席で見ていたので一体どんな感想を持たれながら見ていたのかわからなかったが、私はすっかり興奮していたので「いやー面白かったですねえ」とテンション高めで話しかけたら宮沢さんは笑顔で「素晴らしかったなあ」と言った。それから宮沢さんの大学の生徒さんである石原君と三野くんと今回の吾妻橋の感想を話した。キュレーターである桜井(圭介)さんに「超よかったーんですけどー」と絡んだりして(ウザい酔っぱらいのようになってなかったか心配)。
■面白い映画を観ると誰かと喋りたくなる感覚に似て、それから宮沢さんの家に移動し今日のパフォーマンスがいかによかったということを皆で話し合った。話し合うのも変だが、何か喋りたかった。皆基本的には同じ感想を持っていて、宮沢さんと「表現に向かうそのまっすぐさ」について話せたことは、自分の中でもなんかすごくよかった。いつものようにどうでもいいくだらない話も多かったんだけど、いいものを見た後はくだらな話も盛り上がる。
■家に帰り眠り目が覚めて、「もう一回見たいなあ」と思った。そして「頑張ろう!」と思った。また新しい一日が始まる!
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