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クワイエット

  • 2007/11/20

松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」を読む。映画ではなく小説を読んだ。順序よく行こうと思って、小説から。ぽんと膝を打つ。腑に落ちた。

この小説に出てくる全ての人の生き方ををせせら笑うことは私にはできません。しゃれにならんけど、別にしゃれになりたくて闇雲に走っている訳ではない人たちだし、皆いい奴だし。皆って精神病院に入院している患者と面倒な患者を看護するナースさんのことね。まあ、いい奴だからってやっていいことと悪いことがあるだろうという常識的な考えはひとまず置いておいて、皆頑張っててえらい。

私は、頑張りも尽き果てギャグにもならない自分に出会った時、自問自答する。あんたはそんな状況どうするの?きちんと向きあえるの?って言ったら、無理!無理です!もうダメっす!逃げさせてください!ってことになる。そして自問を放棄し、誰かに聞き始める。「逃げても怒らない?やっぱどうせ怒るんでしょ?」と。誰に聞いてるんだか。で、誰だがわからない存在に怒られるのが怖くて逃げない振りをしている。そして今までの思考は自分の中にいる他人や自分の中にいる自分に怒られたくないための言い訳。結果、言い訳を考えて脳内で逃げているのだ。人間は(って大きな括りにしちゃったけど)そんなみっともない自分をなかったことにしたい夜だって腐るほどあるだろう、って思う。言い訳したくないとか嘘つきたくないとか、皆当たり前のように言うけれど、そりゃそうなんだけど。私はそんな正論からはみ出してしまったことが何度もある。

この小説は絶対に怒らない。誰にも説教していない。そこがすごいな、松尾さん。説教しないでくれて本当にありがとうございますと言いたい。松尾さん、これからも面白い小説と大爆笑エッセイとインタセイ(インタビューとエッセイを掛け合わせた文章のこと。松尾さんが作った言葉)、楽しみにしていますので、体調だけは気をつけて下さいね、と下北沢あたりでばったり会ったら言ってみようと思う。

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