Posts at Random

4月 5



記念日


12月


1月2日 金星


Stay Connected

「ニュータウン入口」についての長文

  • 2007/09/26

遊園地再生事業団「ニュータウン入口」は初日に観に行った。本当は3日目にチケット予約をしていたのだけど、何故か「この舞台はどうしても初日に観ておかなければいけない」と思い立ち役者さんにお願いしてチケット変更をしてもらった。どうしてそう思ったかというとプレビュー公演から稽古を何度か観させてもらったし、役者さんの何人かとも随分話をしたし、私はこのプロジェクトに全く参加していないけど勝手に参加している気分になっていたのかもしれない。あ、全く参加していないと言えばウソになるな。宮沢さんが第一稿を書く前にやはり勝手に手伝ったのだった。ちなみに勝手に手伝うという行為は図々しいのでなかなか人には勧められない行為だ。

それで初日。たくさんの言葉に興奮しつつ観劇した。言葉のもつ強さが存分に味わえる。今回の公演で「詩人」という役は存在しない(「トーキョー・ボディ」「トーキョー/不在/ハムレット」で南波典子さんが演じた役)が、出演者全てが詩人のようだった。今野くんというカメラマンが発する言葉は現実的ではあるけれど、たぶんカメラマンという存在なりの詩を心に持っているのだなあと感じる。

演技が円熟の域に達している役者さんが何人かいて、例えば杉浦千鶴子さんの「ダンス講義」など、稽古を含めこの1年間、何回重ねてきたのだろうと思わせるものがあった。何度も何度も繰り返し稽古して何度も公演を重ねたからこその説得力や美があったような気がした。そうだ、杉浦さんはすっごく可愛かった!髪型も衣装も、笑顔も全て可愛かったので勝手に応援していた身としては嬉しかった。

このように「ニュータウン入口」について書き出すと止まらないのはわかっていた。勝手に手伝った身としてはあの人も気になるしあの人も気になるしあのシーンも気になるしという感じなのである。

戯曲について「闘い」という言葉に何度も立ち止まりながら観ていた。この人達はニュータウンという場所においてそれぞれ闘いを続けている。それは現実の私たちも同じだ。(観ながら私はFISHMANSのアルバム「宇宙日本世田谷」のことを思い出していた、あのアルバムもある意味闘いなんじゃないかなとか考えつつ)闘い方はそれぞれに違うのだけど、皆何かしらと闘っている。今まではつい見落としていたけど、不動産屋の「高村」やビデオ屋でバイトしている「ジャスパー」さんだって皆自分自身の闘いを強いられそして立ち向かっているように感じた。そんな中一番闘っているのは「アンティゴネ」という存在に見えるが、アンティゴネはある出来事を発端に(かどうかは定かではないが)闘いに負けてしまう。負けてもすぐにまた闘いの方法を組み直していこうと切り替える、その早さが私は好きだ。切り替えが早いよ、アンティゴネ!と声をかけたくなるも、いや、アンティゴネのようにどんどんさっさと組み直して行こうぜ、皆!という気持ちになる。つい興奮してしまったが、私は舞台を観ていて「つい興奮してしまった」という瞬間が最も好きだ。静かな興奮が訪れるものが好きなのだ。それは音楽のライブで楽しむとかの次元とはまた別の、演劇というライブの素晴らしさがここにあると思っている。

役者さんも皆活き活きしていたように思う。遊園地再生事業団のメンバーである田中夢ちゃんや上村聡くんには稽古中からいろいろな話をしていたので二人の生き生きぶりには本当に心動かされた。たくさんの意味を込めて、夢は本当に綺麗だった。上村君は本当に弟だった。それで私はやっぱりカメラマン役の今野くんがセリフを発したことについてはある意味大事件だと思うのだけど(何故なら戯曲をひっくり返す程の威力があるからだ)、今野くん本人の持つパーソナリティとか声とか繊細さがあってこそこの大事件は完成をみたのだなあと感動した。私は別に今野くんという人のことを何も知らない。そして今野くんは役者ではないので演技をするという意識がもともとないであろう。その彼があれだけ説得力を持った存在になっているというのは、やっぱり「今野くん」という人に説得力があるんだろうなと思わずににはいられない。役者ってたくさんのことを要求される職業で、顔がきれいだったらいいかといえば絶対にそんなことはないし、面白かったらいいかと言えばまた絶対にそんなことはない。動ければいいかと言えばそんなことはない。つまり、「・・・できればいい」という考え方は決して存在しない。ってここまで書いて思ったけど他の職業にも当てはまることですよね。それで、今野くんになるんだけど、今野くんが一体何を持っているか知らないけれど、彼はものすごく魅力的だったし、彼こそが「ニュータウン入口」だったのではないかと思える。戯曲との化学反応であるとも思えるし、彼が持つ圧倒的なよさ(私にとっては)だとも思えるし、そうすると舞台に上がるっていう行為は、本当にたくさんのことがバレてしまう戦慄の行為なのだった(ということは「青ノ鳥」にも繋がるハナシ)。舞台の稽古をしていると、やってもやっても埋まらない、稽古しても稽古しても届かないと思う瞬間がある。それでもたどり着きたいから必死にもがいた先に、何があるか。役者受難。しかし私も役者である。受難とか感じている自分には負けてはいられないのだった。

ここまで書いて、小休止して、ふと宮沢さんの日記を読みそして相馬くんのブログを読んだのだが、ちょっと自分の文章があまりに稚拙で恥ずかしい気持ちになり全部消してしまおうかと思ったが、せっかく書いたので消さないことにした。まあ、こればかりは仕方ない。相馬くんは私と同い年なんだけど、同じ31年生きてても人間こんなに中身が違うのかよ!と驚くときがある。例えばそれはタイガーウッズも31歳だしさかなくんも31歳だという(さらに同い年のライターである井苅イガリ氏によると私たち昭和50年生まれは「さかなくん世代」という名の世代であるという。誰が言っているのかと言えばもちろん井苅くん一人である)驚愕の事実と隣り合わせにある。人間てすごい。相馬くんは何度も紹介しているがこの「ツイノスミカ」のブログを作ってくれた人だ。そして私は今彼に新たな闘いを強いている。ブログを作り直せと。曖昧な注文から彼は一体どんなブログに仕上げてくれるのか、私はえらそうにふんぞろかえっているだけ、待っているだけ。

まだまだ書きたいことがたくさんあるんだけど、あとはもう一回観に行ってから書こうと思う。さ、次はミクニヤナイハラプロジェクト「青ノ鳥」について書こう!

そんなわけで私は最近かなり忙しい。撮影の日々に突入しているためである。撮影に参加したいくつかの作品が見れるのはたぶんもう少し先になるのだけど、テレビでの放映が決まったらここでお知らせするかもしれません。お知らせしないかもしれません。とにかく毎日が闘いで、負けて帰宅し、夕飯を作り狂ったように食べ、朝起きたら「さ、闘いの方法を変えよう」とアンティゴネばりに切り替えが早い日々を送っています。

タンスにはいって寝ているナフル

Leave a reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Stay Connected

Instagram

Monthly Archives

Recent Comments

×