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ナフル、生死をさまよう(長文)

  • 2007/11/12

ナフル

11月7日

ナフルの様子がおかしい。急に嘔吐、下痢。急いで動物病院に連れて行く。先生に「何か誤飲していませんか?」「ごはんを変えましたか?」等々聞かれる。誤飲していてもたぶん気がつかない。思い当たるものもない。ごはんは変えていない。「あの・・・最近新しい猫が家に来まして・・・その猫の体をよくなめていました」とおそるおそる言ってみた。私の中で「もしかして」という思いがあった。

先生は「新しい猫が野良猫ということで、たくさんのウィルスや菌を持っているかもしれません。さらにストレスという可能性も考えられます」という。

そうだよね、と思った。診察台の上でナフルはぐったりしていた。私の責任で病気にしてしまったかもしれない。とにかく脱水症状を起こしているとのことなので皮下注射をして様子を見ることに。原因がわからないため急に容態が変化したらすぐに連れてくるようにと言われて、事の重大さに驚く。

帰り道、ナフルが入ったゲージを持って世田谷通りを歩いたのだけど、涙が出た。歩きながら友人に電話。明日我が家に来てくれるはずだったのだけど、ナフルの件を話しキャンセルする。いろいろ励ましてもらう。

11月8日

今日病院は休診日なので家でナフルの様子を観察する。朝、起きてすぐに吐いた。下痢もしている。ナフルはそれから押し入れに入ってしまった。猫は自分の体調が悪いと身を隠すという。そんな雰囲気だった。たまに押し入れから出てはくるが、ぐったりしているように見え、焦る。ネットで猫の病気について調べると「猫パルボウィルス」の症状と似ている気がして、気持ちが凹む。どの記事にも、「猫パルボウィルスに感染し発症するとあっという間に命の危険にさらされる」というような内容が書いてある。

ネット上で知り合った動物看護士の方と情報のやり取りをする。正確な知識に励まされる。

夜、ナフルはずっと眠っている。やはり具合が悪いのだろう。

テーオが来てから2週間、ナフルは初日こそ「シャー」という声を出して威嚇したが、2日目以降は比較的穏やかな様子だった。テーオと接触した時にも甲斐甲斐しく体をなめてあげたりしていたのだ。微笑ましいなあと思っていたのだが、それが甘かったのか。そのなめている体毛に何らかの菌があってそれがテーオからナフルに感染したのではないかと考える。私の考えなしな行動が、ナフルを追い込んでしまったと落ち込んだ。

夜中まで眠れず、ずっと猫の看病とネットで猫の病気の知識を学ぶ。何て便利なんだ、インターネットってやつは、と思うけど、死に至るということばかりが書いてあって落ち込むこと落ち込むこと。

朝一度しか吐いていないのでその点はほっとしたが、下痢は依然として。便を病院に持って行くため摂取する。

11月9日

朝一番、ナフルを病院に連れて行く。
先生に「嘔吐は止まったが、下痢は治っていない」などと昨日の様子を説明。先生はナフルの体を触りながら、首を傾げている。私は「あの・・・猫パルボウィルスではないでしょうか」とおそるおそる聞いた。聞くのが怖かったがとにかく今は原因を確かめ治療しなければという思いがあった。先生は猫パルボは子猫か老猫が感染する可能性が高いが、ナフルは成猫だし三種ワクチンをしているから大丈夫なのではないかと。安心。とりあえず血液検査レントゲン等。熱は下がっていない。結果を待つ。

血液検査の結果では特に具合が悪いところは見当たらないがレントゲンでは腸の壁が厚くなっていることがわかった。厚いから何なのかと言われたら私には結局よくわからなかったのだけど、先生の説明を要約すると、急性腸炎の可能性があり、このままだと極度の脱水症状になり命の危険な状態になるので今日一日点滴させてはどうか」ということで、私はそれでナフルがよくなるならと賛成。

家に帰り、テーオにごはんをあげる。テーオはものすごい食欲だ。目の傷の方もずいぶんよくなってきたように思う。これでナフルが元気になってくれたらと祈る。

夜、ナフルを迎えに行く。しかし先生は「嘔吐と下痢はおさまっているがまだ脱水状態。その上ごはんを口にしないので『脂肪肝』になっている」と言い入院を提案してきた。脂肪肝というのはこういうことだ。猫はごはんを何日も食べないと肝臓に脂肪がたまってきてしまい、さらにその症状が進むと肝機能傷害、肝硬変を起こすため、とにかくごはんは少しずつでも食べさせた方がいいらしい。ナフルは食欲がないのだろう(当たり前だけど)。2日間ほとんどごはんを食べていなかった。これ以上病気にさせるわけにはいかない。24時間点滴が出来るのでそれで症状がよくなればと思い入院を決断。

11月10日

朝病院に電話してナフルの様子を聞く。熱が下がっていないが少し元気になっているようだと仰っていた。熱心な女医さんで、どうやら夜中もナフルの様子を見て下さっている様。ありがたかった。午後、福島へ。上野からスーパーひたち号にのっていわき駅へ。電車の中で一時間ほど眠ったが、眠りの中で右肺が痛いと思っている自分がいる。目が覚めると別に痛くも痒くもなかった。叔父さんのお通夜。福島は想像以上に寒かった。お葬式に行くと毎回親戚の果てしない数に圧倒される。顔は知っているがもう誰が誰だがわからない。叔父さんの遺影は少し若く思え、後から聞いたら10年以上も前の写真だった。旅行先でゆかたを着て写っていた写真だが、合成でスーツを着せ、それを遺影にしたのこと。不自然さは全く感じられない。すごいなあ。久しぶりにあったいとこと話をする。いとこの娘さんは吹奏楽部でサックスを吹いていて全国大会まで行ったりしているらしい。私も小学校の時に吹奏楽部でサックスを吹いていたので、なんだか嬉しい。

ナフルのことを考える。早く治ってほしいし、原因も知りたい。しかし猫はしゃべってくれない。本当のところなんてきっと最後までわからないのかもしれない。疲れていたのか、実家の布団が自分に合っているのか横になってすぐに寝てしまった。

11月11日

告別式。神道の葬式なので「神葬祭」というらしい。私の実家では神道の葬式が多い気がする(ちなみに我が家は曹洞宗だが、私自身は無宗教)。祭りってところがいいなあと思う。

葬式というものはそういうものだとわかっているが、やはり今回も若手(わたしのこと)には様々な仕事があり、あちらこちら働きあちらこちらと話しをする。これぞ田舎の親戚付き合いだと感じる。どの家でもそうだとは思うが、田舎の親戚には「オモシロ」な人が何人もいるのだが、今回も期待を裏切らない活躍をしてくれたのは個人的に嬉しかった。あと、みんな訛りすぎ。いいけどね、面白いから。お墓に行き、納骨。亡くなった叔父さんのことを考える。元気だった最愛の叔母さんが突然亡くなってから5年。つらく寂しい日々だったろう。

帰京の途につく。ナフルが今日退院できるか心配だった。全て近い人にお願いして福島に来てしまったため頭の中はああでもないこうでもないとしっちゃかめっちゃかだが、今は病院の先生を信頼してお任せするしかない。

家に帰るとナフルは退院していた。昨日よりもずいぶん元気に見える。私の顔を見ると床に寝転んで「歓迎」の意を表してくれた(歓迎かどうかはしらないけど)。

先生の話によると、「とにかくごはんを食べさせて肝臓の機能をあげること、薬をきちんと飲ませること」だそうだ。入院中先生も尽力してくださったようで、あれやこれやと検査をしてくれたようだが、これといってはっきりとした原因が見つからなかったとのこと。テーオの菌が移ったというのも考えにくいそうだ(この意見には正直ほっとした)。しかし原因不明だからこそこれから注意深く見て行かなければならないだろう。とにかく生死をさまようという状態からは脱する事ができたのだ!よかった!

もしかしたらこういうことなのではないかと考える。

ナフルはテーオをかわいがろうとしていた。一生懸命テーオをなめ、心配もしていたのだ。しかしはずみでテーオの傷口を噛んでしまったことでまず第一のショックをうける。傷口からは血が溢れてきた。私は騒ぐだけ騒いで、深夜の救急病院に出かけてしまった。ナフルは一人暗い家で待たねばならなかった。その騒ぎに第2のショックを受けたと考えられないだろうか。孤独な時間の中、ナフルは自分を責めたのではなかろうか。

猫はストレスに弱い動物で、ナフルはそういう猫だろう。ナイーブで、優しい猫なのだ。

だから飼い主である私の責任なんだと思った。ナフルもテーオも引きうけ共に暮らして行くと決めたのだ。ナフルの住みやすいように、テーオの目が治るように、最大限努力しなければ、そして成功させなければ。ナフルは私の辛かった時期を、人生を支えてくれた猫だ。こんなに早く死なせるわけにはいかない。がんばるよ、私は。徹底的にがんばると腹をくくる。何度くくっても足りないものだ、腹ってやつは。

今回、友人をはじめネットでのおつきあいをしてくださった方、メールを下さった方にアドバイスをもらったり励ましてもらって何とか乗り切る事ができた。ありがとうございました。本当感謝しています。

テーオ

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5 Comments

    もっけ

    13th 11月 2007 - 1:19:01

    あんた、泣かせる文を書くじゃないか。ナフルが愛おしく思えたよ。

    ウエハラ

    13th 11月 2007 - 2:19:46

    ナフル回復してきてよかったねえ。

    kasagi

    13th 11月 2007 - 22:08:32

    もっけさん、こんにちは。

    泣かせた?すまないねえ。

    ウエハラさん、こんにちは。

    本当によかったです。長生きしてもらわねば。

    れいあれんちゃん

    14th 11月 2007 - 17:01:10

    初めまして
    ウチも猫を飼ってるんですが、うち1匹のオス猫が11月3日に様子がおかしかったんですが(尿が出ない。血尿が2、3滴出るだけ。うずくまってる。)「何日かすれば治るだろう」と思って様子を見てたんですけど、2日たっても治らなかったので、さすがに病院へつれていったら圧倒的にオス猫に多い「LUTD」と診断されました。生きてるのが不思議なくらいと言われました。余命2日の病気らしいです。
    勿論即入院させましたが、7日の朝、病院から亡くなったと電話がきました。。。。。夕方引き取りに行きました。今までで、あり得ないくらい泣きました。

    ナフルとテーオも、もし尿が出なかったり血尿があったりしたら、すぐ病院へ連れて行ってあげて下さいね。

    kasagi

    17th 11月 2007 - 3:43:52

    れいあれんちゃん、こんばんは。

    「LUTD」という病気は初めて聞きました。
    オスは尿道結石やら怖い病気が多いのですね。

    毎日本当に辛い時間を過ごされているかと思いますが、どうぞ元気を出してください。

    命が消えるというのはとても怖いことです。しかし必ず誰にでも等しく訪れる。私にもネコにも。永遠なんてあり得ない。わかっているけど、いざ直面すると胸がいっぱいになります。私もいつかナフルがいなくなってしまうことを考えてこれからの時間を過ごして行こうと思います。もちろんテーオも。

    ゆっくり、元気になってくださいね。応援しております。

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