旅の覚え書き/大阪編
- 2013/04/26
18日
大阪入り。
夜、大阪に住む幼なじみであり親友のSちゃんと待ち合わせしてごはんを食べる。
明日小屋入りなのでと気をつかってくれて、野菜料理の店に。
少し食べる。
美味しかった。
舞台の話から始まり、食べ物の話、くだらない話など。
※
シアタードラマシティは梅田にある。
大阪は全く詳しくないが、この街にはほんの少しだけ思い出がある。
高校3年生の時Sちゃんともう一人のおさななじみAちゃんと一緒に青春18きっぷで東京から大阪まで旅行したことがあるのだ。
当時国鉄に務めていた私の父が大阪駅近くにある国鉄の簡易宿泊所を借りてくれ、そこで一泊した。
畳の部屋で、騒いだり、喧嘩したり。
今思えば友達だけで旅行するのは生まれて初めて。
少し興奮していたのだろう。
何だかすねた記憶がある。
その時の梅田は、なにもない、だだっぴろい印象だった(現在ヨドバシ梅田がある方です)。
今の風景とは全く別物で面影もない。
Sちゃんはこの旅行の後、家族で海外に移住し、今現在は結婚して大阪にいる。
宿泊先で台本を読む。
セリフを言えるかどうかチェックする。
忘れていたらどうしようと、気が気でない(小心者)。
19日
あまり眠れなかったが意外と元気。
シアタードラマシティ、小屋入り。
午前中は散歩をして身体を動かす。
路地に野良猫はいないかと探したが、収穫なし。
楽屋に入り、劇場へ。
劇場の広さに驚く。
パブリックシアターとはまた異なったタイプの客席で、横に広い。
声を出したり、きっかけを稽古したり。
そして大阪初日。
東京で15ステージやってきたけれど、やはり緊張する。
舞台袖で、手汗を拭い、舞台に。
そして無事終了。
お客様があたたかい拍手をくれた。
何だか泣きそうになってしまった。
20日
今日は昼と夜公演。
朝、散歩。
何だかめちゃめちゃ寒い。
一人で阪急三番街やその近辺をぷらぷらする。
寒すぎる…。
目に入ったレースの変なカーディガンを買ってしまいそうになり思いとどまる。
だいいちレースでは寒さ対策にならないではないか。
思いとどまり本当によかった。
喫茶店にでも入ろうかと思ったが、コーヒーを飲むとお腹が一杯になり舞台に差し支えるのでやめる。
小屋入り。
昼公演と夜公演の間が短いので、化粧を直したりご飯を食べたりしているとあっという間に本番だ。
ストレッチしていたら腰が痛いことに気がつく。
不安になって(小心者)、いろいろ体操し、何とか治った。
昼も夜も楽しかった。
緊張はするけど、わくわくもする。
毎回どんな舞台になるのか、自分でも全く想像がつかないからだ。
夜公演には、ヨーロッパ企画の本多くんと矢内原美邦さんと東京から相馬くんが来てくれた。
宮沢さんと映像の高橋さんと上村くん達と皆で一緒に劇場近くの居酒屋へ。
わいわい楽しかった。
ミクニさんからふりかけと猫のポーチをいただく。
冷たい雨が降っていた夜。
21日
昼公演で大阪は終わり。
あっという間だ。
朝晴れたがやはり寒い。早く起きてまたもや一人で散歩。
薬局や、コンビニや、ぐるぐる回る。
舞台はいろいろ面白いことがあったが、無事に大阪千秋楽終了。
(舞台のことは、北九州公演が終わってからゆっくり書きます)
お客様も毎日満員で嬉しかった。
個人的にも忘れられない舞台になった。
劇場には旧友・南波典子さんと旦那さんの佐藤さんが来てくれた。
南波さんは93年の遊園地再生事業団「トーキョー・ボディ」で共演して以来のお友達だ。
佐藤さんも遊園地再生事業団「ニュータウン入口」に出演している。
お二人は現在は奈良在住なので、なかなか頻繁には会えない。
元気そうな顔が見れて、よかった。
南波さんのブログを毎日楽しみに読んでいるので、今後も書き続けて欲しいと頼む。
東京からのお客様も来てくれた。嬉しい。ありがとう、島くん。
そしてSちゃん夫婦も見に来てくれた。
21日はSちゃんの誕生日でもあり、そんなこともあり、喜んでもらえたかな、いい誕生日になったかな。
※
夜、ABCホールに移動し、ナイロン100℃「ゴドーは待たれながら」を観劇。
いとうせいこうさんの戯曲、ケラさんの演出、そして大倉孝二くんの一人芝居。
かつてはこの「ゴドー」をきたろうさんが演じたというこの舞台。
絶対に見逃してはならないと思いつつ、東京では見れなかったのだ。
今日はいとうさんがアフタートークに出演するとのことで、これはと思いチケットをとった。
※
舞台はおかしみと哀しみに彩られた世界だった。
そして大倉くんのゴドーは、笑顔でありつつも深い絶望を抱えているように見えて、何度となく涙が出そうになった。
そして、敢えて書くと。
私も一応役者をやっているのでわかる。
あの台詞量もさることながら、
一人であれだけの重量のある舞台を支えることの「重さ」を。
「重さ」はプレッシャーに変化し、自分を圧迫する。
日々を浸食しかねない程の圧迫。
しかしそれは力にしなければならないし、跳ね返さなければならない。
大倉くんの姿を見ていると、その「重さ」を飲み込んだ巨大な怪物になっているような気がした。
跳ね返さず飲み込んだ、その潔さ。
ただそこに立つ怪物に震えた。
心の中で何度も、恥ずかしながら自分のこと、甘さについて考えた。
※
アフタートークはケラさんといとう(せいこう)さんと大倉くんと、スペシャルゲストできたろうさん。
4人のお話はとても楽しかった。
きたろうさんが大倉くんの姿を嬉しそうに見ているのが印象的だった。
終演後、楽屋に挨拶に行く。
大倉くんは痩せていたが笑顔だった。よかったー。
図々しく打ち上げに参加させていただき、ケラさんはじめ皆さんとお話をする。
いとうさんがこの戯曲を書いたのが32歳の時だと知り、驚く。
ああ、きたろうさんの「ゴドーは待たれながら」も見たいー。
では、名古屋編に続く。