演出のためのノート011 5/31 直前リハーサル
- 2018/06/06
5/31
10時にscoolへ。初日の、いわゆる「のりうち」。
まずはscoolのTさんにプロジェクタなどの設置をお願いする。
Tさんはいつでも優しい。この日ももちろん優しかった。
牛尾さんが今日から3日間、制作のお手伝いに来てくれる。
本当に助かる。
お金や受付を全部任せていられることがあまりにありがたい。
制作周りは牛尾さんにお任せして、私はオペレーションの準備に。
照明は鈴木さんがシュートをしてくれる。
ありがたい。
もう、助けてもらってばかりの人生だ。
場当たり、いくつかのテクニカルなきっかけを試す。
私が場当たりであーしようこーしようと発言しているのが、
ちょっと自分でも不思議だ。
戯曲は2回ほどラストソングスさんで書かせてもらった。
しかし、演出はあまりに久しぶりなのだ。
よくよく考えたら舞台の演出をするのは10年ぐらいぶりじゃないか?
もはや10年前の公演で場当たりをしたのかさえ覚えていない。
したのかな。
とか、考えながらひとまず進める。
とにかくきっかけがうまくいかない。
同時に幾つかのことができないのだ。
まあ、当たり前なんだけど。
右手で照明、左手で映像出し、みたいな。
できねえ!と口にはせず、ただひたすら練習する。
その姿を見て、鈴木さんが「オペやろうか?」と言ってくれる。
私のテンパり具合&手元のダサさに、そう言わずにはいられなかったのだろう。
「思ったよりそんなにきっかけがないのでゲネプロをやれば、いけると思う」
まじか。
考える。
申し訳ないからだ。
でも、冷静に考えて、やってもらった方が公演の成功につながるはずだ。そりゃそうだ。
鈴木さんは遊園地再生事業団の公演でかつて「映像班」と呼ばれていた人だ。
私がやるより10000倍いいに決まっている。
2分ぐらい悩んで、
「お願いします」
と深々と頭を下げ、私はオペ席をそっと離れた…。
これで、ありちゃんの芝居をしっかり見ることができる。
やっていただくならば決断は早い方が良い。
私、切り替えだけは早いのだ。
急遽、鈴木さんにきっかけなどの説明。
午後、ゲネプロ(直前リハーサル)。
流れはよかったが前半のお芝居でもう少しこうして欲しいかなということがあり、
ありちゃんに言った。
でもありちゃんはみるみる不安そうな表情となる。
そりゃそうだ。
もうすぐ本番なのに、「ありちゃんなら大丈夫だ」と注文を出してしまう。
もちろん悪気はない。
しかも、ありちゃんは今で100パーセントを出してくれている。
それは毎日見ているからわかる。
私はそんな人に120パーセントを出せと言っているのだ。
演出家って、何なんだ。
でも、もっと、と、いや、このまま、と心が揺れる。
しかし、ありちゃんは「稽古します、稽古したい」と言ってくれた。
ありちゃんの不安を思った。
一人芝居、一時間一人きり。
ものすごいプレッシャーだ。
「今私が言えることはなんだろう」と考えて、
「全く問題はない。全責任は私にある。せっかくだから、思い切って楽しんで欲しい」
そんなようなことを言ってみた。
まるで何かのドラマのセリフのようだ。
そして本番はやってきた。
緊張もしたが、その緊張はかつて味わったことのないものだったが、
それよりも、嬉しかった。
ご来場いただいた皆様に心から感謝します。