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「長い時間のはじまり」のはじまり

  • 2023/05/17

 

 

店員さんに「お名前はなんとお書きしますか?」と聞かれ咄嗟に「けんすけくんでお願いします」と言ったものの、一度もけんすけくんと呼んだことはないと思う。

 

 

 

スヌーヌーの稽古が始まった。
この「長い時間のはじまり」という作品は昨年末に上演を予定していたものだ。
しかし、世に蔓延した新型コロナウイルスの影響を受けて中止となった。

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疫病が流行し世界が一変した最中に、前作である「モスクワの海」を書いた。
混乱の中なんとか上演を画策するも、公演直前であえなく中止。
一年後の同じ日になんとか上演し、おかげさまでその後再演もさせていただいた。
考えてみればとても長い時間をこの作品と共に過ごしたのだった。

そして昨年、私は「長い時間のはじまり」という作品を書く。
書くと決めてから毎日机に向かってはとにかく唸っていた。
書くことの困難が自分の頭と身体を徹底的に支配した。
それでも書こうと踏ん張った。
書かなくちゃいけないと思った。
そして再び公演が中止になり、そうかあ、この作品とも長い付き合いになるんだなと思った。
むしろそれが必然であったのかもしれないと、自分なりに肯定的に受け入れることができた気もする。

 

昨年末に思ったのは、「時間は続くな」ということだ。
公演が中止になったからといって、何も終わらない。
日々は続き、手洗いは続き、コロナは終息せず、そして命は続いていく。
何があっても、生は留まらない。
そしていつかまた再び私は自分の公演を自分のできる範囲で粛々と準備するだろう。
またどこかで、きっと、演劇をやるんだなと思った。

ーーーー

もうすぐ夏になるなあ。
「長い時間のはじまり」はなにを隠そう真冬の物語なのだ!
隠さなくてもいいか。
夏に上演するのには適さないかもしれないなと思うものの、でも、どこかで、わかっている。
日々の中で想像する、その時間においてのみ、創作は続く。
時間が大切なのだ。

時間をかけること。
やめないこと。

中止になってから今日までの日々の分人生の経験値が上がっているのだからそれも反映されてきっとよりいい舞台になるだろうとか、そんなふうに明るく考えています。

 

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リスタートにあたり。
この公演に再び参加してくれた松竹生さん、ぼくもとさきこさん、踊り子ありさん、山本健介さんに感謝しています。
そしてここまで支えてくれたスタッフの加藤じゅんこさん、多賀啓二さん、タムナデ姉さん、明田川志保さんにもどっぷり感謝しています。
公演のチラシに新たな命を吹き込んでくれた牛尾千聖さんにも心からの拍手を。
そして励ましてくださった、心を寄せてくださった皆様にも。

公演までどうぞよろしくお願いします。

 

 

ーーーーー

稽古の日にふとTwitterを見ると山本健介くんが「これからも存在します」的な不穏なツイートをしている。
何事かと思ったら、誕生日だった。
やばい、忘れていた!
っていうか、40歳のメモリアルバースデー?まじか!
ということでホールケーキを買って、みんなでお祝いしました。
誕生日は忘れていたけどさ、山本くんはとにかく白いクリームが大好きだということだけは覚えていたんだワタシ!

 

プレゼントをもらう山本くん。おめでとう。

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