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ゴールデン

  • 2007/05/06

稽古休み。ゴールデンだから。本谷さんの稽古について(そして本谷さん全般について)考えたりしていた。とにかく「早い」。食べるのは徹底的に遅いが、演出と執筆は徹底的に早い。頭の回転が速いんだな。それでいて絶対に妥協しない。とばさない。ないがしろにしない。それは、本当に、驚くべき部分なのだった。

本谷さんの演出と執筆の瞬発力についていってない自分がいて、もうマジで自分を叱咤している。本谷さんの素早いスピードについて行かなければいけないなあ、まあ、悪気はないんだけどさ、これまでの稽古でも考えていたつもりだったけど全然考えていなかった自分に気がついて愕然としたゴールデンだった。焦っても仕方ないけど、本谷さんと同じスピードで移動しなくちゃ。明日からまたもう徹底的に台本読んで、またわかんなくなって、でも「わかんなくてもいいや」っていうゼロ地点を定めているからかろうじて大丈夫みたいな日々にしよう。

考えがすこしまとまった。また明日稽古場でぶっ壊れると思うけど。まとまったのは映画「神童」を観たからかもしれないし、昔のNHK朗読ドラマ「思い出トランプ」(ビデオやDVDで発売されていないようなのでたぶん貴重な映像だと思います)をビデオで観たからかもしれないし、今は昔の雑誌「夜想/戯曲の力!」(表紙は片桐はいりさんが大きな口をあけてオムライスを食べている写真で、本当にかわいくて好きな写真なのだ)を再読したからかもしれない。何度も読み返している雑誌なんですが、今日驚いたのは岩松了さんのインタビューに自分で鉛筆で線を引いている自分の不可解さ。本に線を引く習慣は持っていないのに、何故私はこの文章に線を引いたのか。いつ引いたのか。全く覚えがない。

ある状況があってある人物が第一声を言う。その時感じる面白さ。その一言で笑っちゃう奴。「あ、こいつバカだ」とか「何かにかまけすぎている」とか・・・その一言の意味はまだわからなくても、そういうことは感じる。その人物の状態がわかるというか。

ってところに、のみ、線がひいてあった。何で?何でひいたの?全然その時の自分の心境が思い出せない。他に面白いことためになることいっぱいいっぱい書いてあるのに何故ここか。

で、今だったら私はどこに線を引くか。

「そうでなくちゃいけない」と思い続けたらもうダメなんですね。

今の自分にとてもじんと来たのだが、実際には、線はひかないよ。さて明日からまた稽古の日々が始まる。そして何と再来週から稽古のダブルヘッダー!「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」の稽古と、かながわ戯曲賞リーディング公演「廻罠」の稽古をハシゴするのである。期間限定の忙しさ。さあ、そんな売れっ子的なことが果たして出来るのか、オレよ。でも幸福にも稽古場が一緒のスタジオなんです。移動時間が省略できるからラッキーである。しかし、本谷さんの稽古を抜けて一分後に宮沢さんの稽古に参加出来るという状況にいっぱいいっぱいな自分が容易に想像出来るのである。・・・怖い。

とにかもかくにも休んでいるようで休んでいないが、ゴールデン万歳だった。

あと、演劇を遠く離れて、友達と朝まで電話した。電話があまり得意ではない私も、いろいろな話をした。とにかく私たちは(私たち二人に限定せず、今生きる同年代の中途半端な者どもは)絶対にタフになるべきだ。そしてきっとなるだろう。どんどんどんどん図々しくなるだろう。そういうことを受容した生き方が正しいか正しくないかはわからん。わからんが舞台に立つ時や何かを書く時や友達の話を聞く時、徹底的に悩むためにタフになろうと思う。「歳を重ねりゃ、嫌でも図々しくなっていくよ。」と、誰かの声が聞こえる。わかっているけどね。あ、結局全然演劇を遠く離れてない。

それにしても「神童」。あー、幸福な気持ちになる映画だった。そして私の中で「松山ケンイチは藤井隆に似ている説」は決定的なものになった。

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