奇貨
- 2012/10/15
ああ。
読み終わってしまった。
寂しい、寂しい。
※
5年ぶりの新刊。
待っていた甲斐があるってものです。
松浦理英子さんの小説は全て読んでいます。
これからもずっと読み続けるでしょう。
※
はじめて手にしたのは高校生の時。
「葬儀の日」だったか。
その頃の私は「河出文庫好き」だった。
理由は、なんとなくかっこ良かったから。
それまでは新潮文庫ばかり読んでいたのだが、河出文庫は何だか装丁やラインナップがオシャレっていることに気がついたのだ。
澁澤龍彦とか、「愛人(ラマン)」とか。
読んでないけど、何かシャレてるなあと思っていた。
高校生故のその浅はかな思考、許して下さい。
そのオシャンティ気分で購入し、がつんと脳天かち割られたんじゃなかったっけ。
そして、大学生の頃だったか「親指Pの修業時代」を上野の丸井の中にあった本屋さんで購入する。
感激だった。
何て面白い女性がいるんだと。
同じ時代に生きててよかったなあとさえ、思った。
※
ああ、これだ。この硬質で簡潔な文章が好きなんだなあと、「奇貨」を読みながら思いました。
甘ったるくない、句読点のたびにスパーンと音が聞こえるような文章。
具体的な感想は割愛しますが、ともかくここには、私が「読書」に求めている「時間」がありました。
身体に染み渡るよう。
また待ちます。何年でも。