「コンナオトナノオンナノコ」とドンづまり
- 2007/12/04
■映画「コンナオトナノオンナノコ」を観た。たまたまなのだが、冨永昌敬監督とチェルフィッチュの岡田利規さんのトークショーの日だった。映画のトークショーと言えば上映後にあのシーンの撮影はこんな感じだったとかをバラす形式が大半であろうと思うのですが、何故か今日は上映前にトーク。よってネタバレを避けて話す二人の苦労が見えて面白かった。どうやら上映後にトークをすると岡田さんの終電がなくなってしまうらしい。なるほど。岡田さんと冨永くんの二人は全く違うタイプの人間だと思うのだが、と、もちろんそれは作品の違いにも表れているし私は友人として冨永くんのことはよく知っているが岡田さんのことは何も知らないくせにあえて書くのだが、その異質さが功を奏して二人は非常に気が合いそうだなあと思ったのだった。
■映画本編について。原作の安彦麻理絵さんのマンガはたぶんこういうことになっている。女の欲の先にあるドンづまり。どの作品にもそのドンづまり感があって、それを経験した事がある人なら確実に共感できるし経験した事のない人にはさっぱりわからないのだろう。私は前者である。昔からドンづまっていたし今もドンづまっている。オールウェイズ・ドンづまりですよ正直。しかし私は声を大にして言いたい、「君らみんな、そうだろ?結局ドンづまってるだろ?」と。つまってない女もいつかまたつまる。まわるまわるよ時代はまわる。勝ちは負け、負けは勝ち。そんなもんなのだ。私は女だからそのあたりの面倒臭さは知っている。そこを男の冨永昌敬はどう描くのだろうってところと、今までの冨永映画にある独特の空気と安彦さんのマンガの融合し加減が興味深き点。で、観ました。
■主役の女の子2人ともやっぱりドンづまっていた。まさに崖っぷちだった。そこがまずはっきりしている。原因はもちろんそれぞれなんだけど、ドンづまりなことには変わりない女たちとはまさしく30代近辺を彷徨う私を含めた女たち全てのことを指している。映画はそんなしょうもない私たちを優しく包んでいるようだった。優しい映画なのだ。どんなに笑っていても暗黒、どんなにドンづまっていてもネアカ、そんな女性の真理が丁寧に描かれていてしかしやっぱりちょっとだけ冷たい。女に厳しい面もある。そりゃ世の中には男と女しかいないし、お互いがお互いを批判していたらキリないけどさ、お互いがお互いを監視していることは大切だと思うんです、わたしは。監視の目があってようやく女は自由になれる、ってフェミニストか?って感じになってしまった。女も男も大変なことには変わりないんだけどね、種類が違うね、多分。ま、男のことはよくわかりませんが。
■あるシーンで、「ああ、このシーンは超有名映画『ネバーエンディングストーリー』へのオマージュだな、ここにメルヘンを持ってくるとは、さすがだな冨永くん」と思ったのですが、それは大いなる勘違いだったようだ(監督本人に確認済み)。しかしそんなふざけた勘違いをしたくなるような、優しさに溢れた、気持ちのよい映画だった。
■それで、私は人の目で認識できる程に出演していたかというと、自己評価では50点。私はわたしだからわかるが、私がわたしでなかったらたぶんわからない。ダメじゃん。しかし、いいシーンで面白い役をやらせてもらって大満足なのです。
■「コンナオトナノオンナノコ」は12月7日まで。池袋シネマロサでレイトショー上映です。お時間ある方は是非池袋まで足を運んで下さい。
■冨永昌敬のブログ→「STJP Official Blog」(冨永監督の映画「シャーリーテンプルジャポン」の公式ブログです)
ナフル記念日/恋愛時代
- 2007/12/03
■昨日は友人が遊びに来てくれたのでカレーを作った。肉なしで、ほうれんそうとカッテージチーズのカレーにしてみた。肉なしなのもなかなかいいです。たくさん食べても罪悪感がないからです。
■ナフルが友人の膝に抱かれる瞬間が二度ほどあってびっくり。ナフルは無類の怖がりで、昔だったら押し入れに隠れて出てこなかったのに。すごい。なかなか感動的な時間だった。テーオが来てから少し社会性が備わったのかもしれないですね。
■エドワード・ヤン「エドワード・ヤンの恋愛時代」の内容を全く覚えていなかったことは前回書いたが、思い出した感覚がある。前に映画館で観た時には「あんまり面白くなかった」と思ったのだが日が経つにつれて「やっぱりとても面白かった」と思った感覚を思い出したのだ。実は今回もまた同じ気持ちになったからだ。何が面白かったのか、それをうまく言い表せないのだが、何かにつけて思い出す。ツァイ・ミンリャン「楽日」は見終わった後すぐに「面白かった」と言えたのはきっと全てにおいてハッキリしていて力強い表現だったからで、簡単に言えばわかりやすかったのだ。セリフ、ないし。
■「恋愛時代」はそれとは違う、何だろう、じわりじわりと、とかなんとかぐだぐだ言っておいて、そんなこと言っておいて全て忘れちゃうくせにね。それにしても原題は「独立時代」で邦題は「エドワード・ヤンの恋愛時代」。映画を見終えて、ストーリーを考えると「独立時代のままでいいのになあ」と思いました。だって独立していく人間たちの話なんだから。恋愛は二の次だったと思うよ。
寝ては行けない場所
- 2007/11/27
■寒くなって来て気分はいい。反比例して体調はよくない。しかし、朝仕事に行く時に玄関を開ける、その一瞬の寒さは何ともいえないな。寒いと呼吸が面倒くさいとか肌が乾燥するとかいろいろむかつくことはあるが(それ以前に「お前、体調いい時あるのかよ!」と自分にツッコミ)、それを差し引いても、気持ちよい。
■江國香織「間宮兄弟」を読み終えた。映画を見てから小説を読んだので、読んでいる最中、映画のシーンをいちいち思い出しては「このシーンは小説の方がいいなあ」とか「このキャスティングはやはり正解だな」とか、いつもの読書よりも2倍楽しんだ気がする。この小説をあの映画にした森田芳光監督はやっぱりすごいなあ。そして私は昔から江國香織の良き読者ではないのだが、今回は彼女の小説から発せられるエネルギーに拍手を送りたくなった。やっぱすごいなあと感心したのだ。やっぱりすごいなあ、ばっかりでお恥ずかしいです。字足らずです。
■映画ではドランクドラゴンの塚地武雅が演じていた間宮兄弟の弟、徹信にシンパシーを感じた。当然だが映画よりも小説は説明的だ。(それは小説の持つ特性だと思うから、それはそれでいい)だから徹信のいかにも次男らしい性格の細かい説明描写に映画よりも強く同調しうんうんと頷きながら読めた。私も次女だから彼の気持ちが理解できるんだろうな、きっと。映画では理解できなかった彼の心情も、小説の説明で理解でき、別に理解できないままでも構わないのだけど(それが映画の特性っていうか、私にとって面白い映画にはたいてい簡単に理解できない部分があるのだけど、それが感覚的にちょっとでも「わかった!」と思える瞬間を感じる事が出来るもの)、でも言葉で理解できてよかったなあと今回は素直にそう思いました。
■週末は友達や家族と会い、楽しい時間を過ごした。横浜、阿佐ヶ谷、奥沢、すべての場所で美味しい肉や魚や野菜を食べ、少しだけ酒を飲んだ。
※※
■病気続きのナフルは、今結膜炎である。ぼーんと目が腫れている。理由はたぶん「テーオに蹴られて腫れた」から。最近は夜の0時をまわるとお互いを追いかけ合う「ハッスルタイム」がスタートする。追いついたら噛み合ったり蹴り合ったり・・・。何が君らをそんなに駆り立てるのか。断末魔の叫びとともに二匹の獣が部屋を縦横無尽に駆け巡る。我が家は二階だが、一階は測量事務所になっていて夜は不在。本当によかった。それにしても早く彼らを「ノー病気」にしてやりてえなあ。
猫人生/シャット/コンナオトナノオンナノコ
- 2007/11/24
■二人はずいぶん落ち着いて来たようです。
■しかしまだ気になる事がいくつか。まずナフルの声がかれた。テーオと取っ組み合いの喧嘩をしている際に「ぐわーお!!!」という雄叫びをあげていたら枯れてしまったらしい。かわいい高い声だったナフルは今酒焼けしたおばさんのようになってしまった。様子見。
■そしてこれは前から気になっている事、テーオのくしゃみと鼻水。拾ったときからひどかった。くしゃみをすると鼻水が飛沫をあげる程。ナフルにうつってしまうのかなあと心配していたのだけど、目の手術をして下さった先生が「これは慢性の鼻炎でしょう」と言っていたので安心していた。でも今回ナフルの声がかれたこともあり、もしかしたら悪性の風邪かもしれないので、よし!と一念発起して二人同時に病院に連れて行く事にした。
■まずナフルをゲージ入れたら中で気が狂ったように暴れる。先週嘔吐した時に病院に連れて行ったときはゲージに入れても全く騒がなかったのでやはりあの時は相当体がしんどかったのではないか。「もうどうでもしてくれ」というようなあきらめが感じられた。今回は「出せこのやろー!!」とお怒りの様子だが、逆に嬉しい。
■で、我が家にはゲージ一個。仕方なくテーオを無印の小さなショルダーバッグに詰め込む。ファスナーがついているから逃げないだろうと思って。おとなしく入ってくれた。
■病院ではテーオの病気の可能性を告げられ、それは野良猫として過酷な状況で生きて来たテーオにしては当然持っているウイルスの話。少しずつだが治療することにした。
■猫を育てるのには当然だけどお金も根気も気力も明るさも必要だな。帰り道タクシーを待ちながらクラブのママのような声を上げて鳴くナフルに話しかけた。「我が家に来て幸福かい?」そんなん、知らんわ。一生わからんな。・・・そんな漠然としたしかも難しい質問すんなや。はいそうですよね、どうも失礼致しました。
■さー、がんばるぞー。受難のテーオとナフルと。
※※※
■ずいぶん前に撮影したCMがオンエアされているようです。ジョンソンアンドジョンソンの「シャット流せるブラシ」。遊園地再生事業団やペンギンプルペイルパイルズで共演した山本大介くんと夫婦です。
■そういや冨永昌敬監督の新作映画が絶賛上映中なのだった!「コンナオトナノオンナノコ」。イケブクロシネマロサニテレイトショージョウエイチュウ!と全部カタカナで書いてしまいました。実は私もエキストラとしてちょいと撮影に参加。わかるかなー?わかんねえだろうなー!って感じで出演しております。漫画家の魚喃キリコさんや安彦麻理絵さん(原作者)や大久保ニューさんや、役者の木村文ちゃん(撮影当時は妊婦で、今は出産し立派なお母ちゃん!)や、冨永撮影隊のリューちゃんやオオガワラ先輩とみんなでわいわい楽しく撮影。魚喃さんと私はコスプレしています。試写を見逃したので、まだ見ていない。楽しみだなあ。
■図書館に行って、「へんないきもの」という本を借りた。UMA的なカタチをしたへんないきものたちに「うぎゃー!!」と叫びながらも楽しい楽しい。異形の神秘とでもいうか、常識の崩壊というか。ウミウシ系は危険なカタチやあり得ない習性のものが多いようだ。海の中なんて、まだまだ発見されていないおぞましいかたちのいきものもいるのだろうな。そんなことを考えると、楽しくて仕方がないのである!
いくら/まみや/テーオ抜糸
- 2007/11/18
■いくらが食べたくて食べたくて夢に見るほどだったが、「いくら丼」なるものを外で食べると1500円ぐらいしてしまうので、困っていた。そこで生すじこをを買って来てお湯でゆすぎ醤油と酒で一晩漬け「いくらの醤油漬け」を作った。そして朝から「いくらたっぷり丼」・・・美味かったが、朝からこんなに魚卵を食べていいのだろうか。私が男だったら痛風になっているところだ。
■映画「間宮兄弟」を観た。面白かった。原作を読みたくなった。私の中ではとても面白い映画で、塚地武雅とか中島みゆきとか高島政宏(この人の芝居には感動した!)とかキャスティングも素晴らしかったんだけど、とにかく森田芳光監督は私の大好きな映画監督だと再認識することになり、そして「間宮兄弟」のDVDには私が愛して止まない森田監督のデビュー作「の・ようなもの」の予告編がボーナス映像として収録されており、この映画を観た20歳ぐらいの時の甘酸っぱくも腐った思い出が蘇り、それはそれでまあいいやと思いつつ、また伊藤さん(主役なのに、名前忘れた)と尾藤イサオのひどくダメな人間像を心行くまで堪能したい気分になった。
■テーオのゲージの中。ずいぶんカスタマイズされてきました。
■テーオ、昨日抜糸ならぬ抜ホチキスをしたテーオ。傷はきれいだけど、眼球がないからちょっとくぼんでいる。皆さん、メダマのテーオをどうぞよろしく。
■そしてホットカーペットの上で寝ているナフル。ちなみにカーペットカバーは私が10年間着ていたスカートやぼろぼろの枕カバーを繋ぎ合わせただけの歴史ある布たち。思い出の布。
元気になって来ました
- 2007/11/15
■電子レンジの上です。皆様、ナフルは元気になって来ました。応援ありがとうございました。励まされました。心から感謝します。でも油断大敵、ナフルも私も気を引き締めてまいります。
■今日はテーオの抜糸(というか抜ホチキスの針)に病院に行ったら休みだった。タクシー代2000円弱損した。こんな日もあるさ。
※※
■今一番注目しているテレビ番組はズバリ「貞方スタイル」だ!MXテレビ月曜午後11時から放映中。私が偶然見たのは「貞方邦介×神田うの」というこれ以上ハマりようのない回で、ただただあっけにとられたのだけど、ただ、保証します。確実にすごい番組です。って、ただのトーク番組なんだけど、とにかく圧倒されるよ、そのダメさ加減に。MXテレビって一体何なんだと考えさせられるある意味非常に味わい深い番組です。これからも私は「貞方スタイル」を見て行こうと思います。そしてテレビの中の人たちと私のギャップについて噛み締めたいと思います。
ニュース/調布/或る「小倉日記」伝
- 2007/11/13
■こんなニュースを読み、憂鬱な気分になる。
※※
派遣自衛官の自殺16人=対テロ、イラク支援で−政府答弁書
11月13日15時1分配信 時事通信
政府は13日午前に閣議決定した答弁書で、テロ対策特別措置法とイラク復興支援特別措置法に基づいて派遣された自衛隊員計16人が在職中に自殺したことを明らかにした。
内訳は海自8人、陸自7人、空自1人。照屋寛徳氏(社民)の質問主意書に対する答弁書で、「派遣と隊員の死亡との関係は、一概には言えない。退職後に精神疾患になった者や自殺した者の数は、把握していない」としている。自殺が派遣中か帰還後かなど詳細は不明。
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いいのか、こんなんで。
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あまりに暗いニュースなので、こちらは明るい話題。
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種田と谷中を獲得=プロ野球・西武
(時事通信)
西武は13日、前横浜の種田仁内野手(36)と前楽天の谷中真二投手(34)を獲得したと発表した。2001年の途中まで西武に在籍した谷中は復帰。ともに今季限りで所属球団から戦力外を通告されていた。前田康介球団本部長は「種田は内野はどこでもできる。守備、打撃とも素晴らしい選手。谷中も球速140 キロは出る」と評価した。
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なぜ明るいニュースかと申しますと、今年横浜から戦力外通告を受けた種田仁選手の奥さんは「不育症」という難病で闘病生活を送っている最中なのです。もちろんテレビニュースのドキュメンタリー情報です。奥さんが大変な時に仕事がなくなってしまった種田選手のことを密かに心配していた私。よかった!これからも頑張ってね!
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■友人の持山優美と調布でお茶を飲んだ。持山さんは来月30歳になるそうで、「30歳になったら楽になるって皆言うけどいづみちゃんはどうだった?」と聞くので考えてみたが、まあ、確かに楽になったかもしれない。30歳という区切りをそんなに意識したことはないものの、年をとってつらいことは確かに多々あるが(腰痛、老化、記憶力低下、しわ、寝ないと辛い、やせづらくなった)、若い頃の時の精神的だめさ(どうでもいいことを悩んで1日無駄にする、恥ずかしいことを考える、もっともっと評価されたいと願う、その他若気の至りと呼ばれる全ての事柄)の方が辛い。あんなに面倒くさい日々はもう二度と送りたくない、と思うと、確かに私も楽になっている。ニアイコール、図太くなっている。
■しかしつい「20代の全てをなかったことに出来るよ」といいかげんな答えをしてしまった。だったらいいのにねえ。
■調布は静かな街だ。友達とお茶を飲むにはちょうどよい。どうでもいい話ばかり、楽しかった。
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■今までさんざん松っちゃん(松本清張)を読んできたが、一番面白かった小説は、芥川賞を受賞した「或る「小倉日記」伝」かもしれないと今日思う。新潮文庫版『或る「小倉日記」伝』に収録されている『菊枕』も好きだ。初期の作品はサスペンス色がなく、ただ淡々と人間の生き死にを描いているものが多い。その淡々さがいいんだと思う。
ナフル、生死をさまよう(長文)
- 2007/11/12
11月7日
ナフルの様子がおかしい。急に嘔吐、下痢。急いで動物病院に連れて行く。先生に「何か誤飲していませんか?」「ごはんを変えましたか?」等々聞かれる。誤飲していてもたぶん気がつかない。思い当たるものもない。ごはんは変えていない。「あの・・・最近新しい猫が家に来まして・・・その猫の体をよくなめていました」とおそるおそる言ってみた。私の中で「もしかして」という思いがあった。
先生は「新しい猫が野良猫ということで、たくさんのウィルスや菌を持っているかもしれません。さらにストレスという可能性も考えられます」という。
そうだよね、と思った。診察台の上でナフルはぐったりしていた。私の責任で病気にしてしまったかもしれない。とにかく脱水症状を起こしているとのことなので皮下注射をして様子を見ることに。原因がわからないため急に容態が変化したらすぐに連れてくるようにと言われて、事の重大さに驚く。
帰り道、ナフルが入ったゲージを持って世田谷通りを歩いたのだけど、涙が出た。歩きながら友人に電話。明日我が家に来てくれるはずだったのだけど、ナフルの件を話しキャンセルする。いろいろ励ましてもらう。
11月8日
今日病院は休診日なので家でナフルの様子を観察する。朝、起きてすぐに吐いた。下痢もしている。ナフルはそれから押し入れに入ってしまった。猫は自分の体調が悪いと身を隠すという。そんな雰囲気だった。たまに押し入れから出てはくるが、ぐったりしているように見え、焦る。ネットで猫の病気について調べると「猫パルボウィルス」の症状と似ている気がして、気持ちが凹む。どの記事にも、「猫パルボウィルスに感染し発症するとあっという間に命の危険にさらされる」というような内容が書いてある。
ネット上で知り合った動物看護士の方と情報のやり取りをする。正確な知識に励まされる。
夜、ナフルはずっと眠っている。やはり具合が悪いのだろう。
テーオが来てから2週間、ナフルは初日こそ「シャー」という声を出して威嚇したが、2日目以降は比較的穏やかな様子だった。テーオと接触した時にも甲斐甲斐しく体をなめてあげたりしていたのだ。微笑ましいなあと思っていたのだが、それが甘かったのか。そのなめている体毛に何らかの菌があってそれがテーオからナフルに感染したのではないかと考える。私の考えなしな行動が、ナフルを追い込んでしまったと落ち込んだ。
夜中まで眠れず、ずっと猫の看病とネットで猫の病気の知識を学ぶ。何て便利なんだ、インターネットってやつは、と思うけど、死に至るということばかりが書いてあって落ち込むこと落ち込むこと。
朝一度しか吐いていないのでその点はほっとしたが、下痢は依然として。便を病院に持って行くため摂取する。
11月9日
朝一番、ナフルを病院に連れて行く。
先生に「嘔吐は止まったが、下痢は治っていない」などと昨日の様子を説明。先生はナフルの体を触りながら、首を傾げている。私は「あの・・・猫パルボウィルスではないでしょうか」とおそるおそる聞いた。聞くのが怖かったがとにかく今は原因を確かめ治療しなければという思いがあった。先生は猫パルボは子猫か老猫が感染する可能性が高いが、ナフルは成猫だし三種ワクチンをしているから大丈夫なのではないかと。安心。とりあえず血液検査レントゲン等。熱は下がっていない。結果を待つ。
血液検査の結果では特に具合が悪いところは見当たらないがレントゲンでは腸の壁が厚くなっていることがわかった。厚いから何なのかと言われたら私には結局よくわからなかったのだけど、先生の説明を要約すると、急性腸炎の可能性があり、このままだと極度の脱水症状になり命の危険な状態になるので今日一日点滴させてはどうか」ということで、私はそれでナフルがよくなるならと賛成。
家に帰り、テーオにごはんをあげる。テーオはものすごい食欲だ。目の傷の方もずいぶんよくなってきたように思う。これでナフルが元気になってくれたらと祈る。
夜、ナフルを迎えに行く。しかし先生は「嘔吐と下痢はおさまっているがまだ脱水状態。その上ごはんを口にしないので『脂肪肝』になっている」と言い入院を提案してきた。脂肪肝というのはこういうことだ。猫はごはんを何日も食べないと肝臓に脂肪がたまってきてしまい、さらにその症状が進むと肝機能傷害、肝硬変を起こすため、とにかくごはんは少しずつでも食べさせた方がいいらしい。ナフルは食欲がないのだろう(当たり前だけど)。2日間ほとんどごはんを食べていなかった。これ以上病気にさせるわけにはいかない。24時間点滴が出来るのでそれで症状がよくなればと思い入院を決断。
11月10日
朝病院に電話してナフルの様子を聞く。熱が下がっていないが少し元気になっているようだと仰っていた。熱心な女医さんで、どうやら夜中もナフルの様子を見て下さっている様。ありがたかった。午後、福島へ。上野からスーパーひたち号にのっていわき駅へ。電車の中で一時間ほど眠ったが、眠りの中で右肺が痛いと思っている自分がいる。目が覚めると別に痛くも痒くもなかった。叔父さんのお通夜。福島は想像以上に寒かった。お葬式に行くと毎回親戚の果てしない数に圧倒される。顔は知っているがもう誰が誰だがわからない。叔父さんの遺影は少し若く思え、後から聞いたら10年以上も前の写真だった。旅行先でゆかたを着て写っていた写真だが、合成でスーツを着せ、それを遺影にしたのこと。不自然さは全く感じられない。すごいなあ。久しぶりにあったいとこと話をする。いとこの娘さんは吹奏楽部でサックスを吹いていて全国大会まで行ったりしているらしい。私も小学校の時に吹奏楽部でサックスを吹いていたので、なんだか嬉しい。
ナフルのことを考える。早く治ってほしいし、原因も知りたい。しかし猫はしゃべってくれない。本当のところなんてきっと最後までわからないのかもしれない。疲れていたのか、実家の布団が自分に合っているのか横になってすぐに寝てしまった。
11月11日
告別式。神道の葬式なので「神葬祭」というらしい。私の実家では神道の葬式が多い気がする(ちなみに我が家は曹洞宗だが、私自身は無宗教)。祭りってところがいいなあと思う。
葬式というものはそういうものだとわかっているが、やはり今回も若手(わたしのこと)には様々な仕事があり、あちらこちら働きあちらこちらと話しをする。これぞ田舎の親戚付き合いだと感じる。どの家でもそうだとは思うが、田舎の親戚には「オモシロ」な人が何人もいるのだが、今回も期待を裏切らない活躍をしてくれたのは個人的に嬉しかった。あと、みんな訛りすぎ。いいけどね、面白いから。お墓に行き、納骨。亡くなった叔父さんのことを考える。元気だった最愛の叔母さんが突然亡くなってから5年。つらく寂しい日々だったろう。
帰京の途につく。ナフルが今日退院できるか心配だった。全て近い人にお願いして福島に来てしまったため頭の中はああでもないこうでもないとしっちゃかめっちゃかだが、今は病院の先生を信頼してお任せするしかない。
家に帰るとナフルは退院していた。昨日よりもずいぶん元気に見える。私の顔を見ると床に寝転んで「歓迎」の意を表してくれた(歓迎かどうかはしらないけど)。
先生の話によると、「とにかくごはんを食べさせて肝臓の機能をあげること、薬をきちんと飲ませること」だそうだ。入院中先生も尽力してくださったようで、あれやこれやと検査をしてくれたようだが、これといってはっきりとした原因が見つからなかったとのこと。テーオの菌が移ったというのも考えにくいそうだ(この意見には正直ほっとした)。しかし原因不明だからこそこれから注意深く見て行かなければならないだろう。とにかく生死をさまようという状態からは脱する事ができたのだ!よかった!
もしかしたらこういうことなのではないかと考える。
ナフルはテーオをかわいがろうとしていた。一生懸命テーオをなめ、心配もしていたのだ。しかしはずみでテーオの傷口を噛んでしまったことでまず第一のショックをうける。傷口からは血が溢れてきた。私は騒ぐだけ騒いで、深夜の救急病院に出かけてしまった。ナフルは一人暗い家で待たねばならなかった。その騒ぎに第2のショックを受けたと考えられないだろうか。孤独な時間の中、ナフルは自分を責めたのではなかろうか。
猫はストレスに弱い動物で、ナフルはそういう猫だろう。ナイーブで、優しい猫なのだ。
だから飼い主である私の責任なんだと思った。ナフルもテーオも引きうけ共に暮らして行くと決めたのだ。ナフルの住みやすいように、テーオの目が治るように、最大限努力しなければ、そして成功させなければ。ナフルは私の辛かった時期を、人生を支えてくれた猫だ。こんなに早く死なせるわけにはいかない。がんばるよ、私は。徹底的にがんばると腹をくくる。何度くくっても足りないものだ、腹ってやつは。
今回、友人をはじめネットでのおつきあいをしてくださった方、メールを下さった方にアドバイスをもらったり励ましてもらって何とか乗り切る事ができた。ありがとうございました。本当感謝しています。
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