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休み/呪い



4月 5


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水色

  • 2006/08/24

昨日の夜、ナフルが大脱走した。
玄関から飛び出し、その後姿が全く見えなくなってしまった。
引っ越して来てから初めての脱走。
近くを探したが全くみつからない。
道が分からずに迷子になってしまうかもと不安になる。
何度も何度も名前を呼ぶが気配がない。
急遽懐中電灯を買いに行き、不法侵入まがいの捜索をした。
遠くには行っていないはずだとは思っても、ヤツのことだ、暴走したかもしれない。
こういう時意外と冷静に考えている自分がいるなと思いつつ、懐中電灯の電池を逆に差し込んでしまいなかなか明かりをつけることができない。
冷静じゃない。

隣に住んでいる石井苗子おばさん(仮名:石井苗子に似ているだけ)が一緒になって探してくれた。おばさんは引っ越した時から何かと声をかけてくれる優しい方で、昨日も一緒になって「ナフルー」と声を出してくれたり、「こういう時は落ち着いて」と巨峰を一房くれたり、その暖かさに泣きそうになった。

脱走して4時間後、彼は一階の下総さん(仮名:役者の下総源太郎さんに雰囲気が似ているだけ)宅の庭にいた。ブロック塀から外の道路に顔をのぞかせていたのだ。お留守の下総さん(下総さんはタクシーの運転手である。ナフルを探し始めた時にちょうど夜勤に出かけた)に悪いと思いつつ、塀をよじ登り、対面した。初めて触れた外の世界にすっかり怯えているようだった。その後多少の駆け引きがあり捕獲。暴れるナフルを片手にかかえフェンスを登ったときは「あたし、なんでもできる」って思った。胸に抱えられたナフルは私の胸をひっかき続けた。ついに二階の家にたどりついた時には何と私の片方の胸が出ていたのだ。ナフルを抱いたまま、何というか、こう、授乳のような?格好。カットソーの襟ぐりが伸びて、まあ、いわゆるひとつの「ポロリ」である。びっくりした。真夜中に猫抱えて片胸出した女、妖怪以外の何者でもないよね。そういう意味でも、「あたし、なんでもできる」なのである。

何もなかったかのようにナフルはソファで寝てしまった。

静かだった。夜中の1時半。私は眠れなかった。

そして朝が来た。また見たこともないような新しい一日が始まる。胸騒ぎがする。足が疼く。心が沈んでは浮かぶ。そんな風に思う日もある。

これから病院。

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