「ムー」
- 2006/12/10
■退屈だったのでビデオでドラマ「ムー」を見た。ものすごく面白かった。郷ひろみの気持ち悪さ、樹木希林の声の小ささと芝居の細かさ、伊東四朗の嫌らしさ、伴淳三郎の素敵な枯れ方、由利徹先生のありえない歩行方法、左とん平の役名(野口五郎)、渡辺美佐子の美しさと優しさ、清水健太郎の漂うあやしさ・・・全てが面白く、ギャグは簡潔で、それでいてストーリーは感動的で、おいおいおいおい泣いてしまった。緻密にしっかり作られたドラマなんだな。しかし「ムー」という名前もさることながらオープニング映像が全て横尾忠則氏が手がけたもので、斬新過ぎる。当時「気持ち悪ーい」と思う視聴者が続出したのではないかと想像した。そして第一話を見る限り何故「ムー」というあやしげなタイトルをつけたのかよくわからなかった。「昔あったと言われているムー大陸は花の咲き乱れた楽園だったらしい」という説明はちょこっと挿入されていたが、この家が「この世の楽園」だということなのかな。それにしたって、「ムー」って題名で、オープニングが横尾忠則のおっかないコラージュで、始まるドラマはふざけたドタバタホームドラマだなんて、いかしてるなあ、久世光彦さん。ま、もちろんドタバタ担当は樹木希林さんと由利徹先生。あとはGOのアイドルらしからぬ気持ち悪い腰つきのダンス等、「笑いあり、涙あり」ってこういうことを言うんだなと思った。
■樹木希林さんは納豆をがんがん口の中に突っ込みながら伊東四朗さんや渡辺美佐子さんに小声でグチを言い続けるという「神業」をやってのけた。若かりし頃の希林さんだよ。何て芸達者なんだ。恐れ入った。